2026.0218 水
- 2 日前
- 読了時間: 3分
昨日、
父に会った。
おならマンであり、
刺身嫌いと
おじさん嫌いの根源でもある
父の検査に
付き添いで病院に行った。
施設から
妹と一緒に到着した
父の雰囲気がなんか違う。
ぼんやりとして
手ぶらで、丸腰。
子どものようだった。
父にまだ流れている怒りを感じ
心のざわつきの奥にある
残骸のような怒りは
自分そのものだったことを
わかることができたのは、
つい最近のことだ。
ずっとずっと感じていた
それがぜんぜんない。
食欲がなくて
少し痩せていたけれど
弱っているわけでもない。
おだやかというより
まだ眠たそうな表情。
もしかしたら
彼も今、
再生しているのかもしれない。
なんてこと
うすぼんやり感じながら
検査は進み
どこにも異常はなく
ほっとひと安心した。
会計まで時間があり
父が喉が渇いたので
ロビーの奥にある
休憩所のような広間に
車椅子を押しながら向かった。
冬の午前の光が
人気のない空間で
跳ね上がっている。
ふたりっきり。
見慣れない場所に
父は少し不安になったようで
周囲をキョロキョロ見渡し
窓の建て付けは大丈夫か
天井が崩れてこないか
カバンは盗まれないか
などなど、
湧き上がる心配をつぶやいている。
めちゃめちゃ、繊細やん。
かつて、
ぼくが子どものころ
ぼくの繊細を
根性のないものとして
怒りでねじ伏せようとした父だ。
全方位に怯えている。
ああ、父も同じだったんだ。
だけど、
それを言わずに
ずっと歯を食いしばってたんだ。
自分と同じく
自分が認められない
繊細さを持った
息子を見て
どうにもこうにもできない
怒りを感じていたのかもしれない。
パーキンソン病からの
レビー小体型認知症になって
しゃべるストッパーの
パッキンがパカパカで
オープンになっている。
そのおかげというか
今の父は
思ったことをしゃべる。
ひとしきりの心配が終わると
ぼくのカバンが
盗まれないように
気をつけろと言って、
俺はそういう細かいこと
すごく気になってしまうと
ダメだなと苦笑いをしたので
ダメじゃないよと答えた。
ちっともダメじゃない。
安心して心配していいよと伝えた。
その細かくて
全方位にわたる心配の奥に
美しい優しさがある。
よわよわしく、輝いている。
それは
ぼくが受け継いでいる。
そして、
息子にも流れている。
たくさん心配していい。
そう思っちゃう自分を
責めなくていいんだってことを
父に伝えることができた。
そのあと、
よくドライブに
連れてってくれたことや
月寒公園でスケートしたあと
近くの商店で食べる
あんまんがおいしかったこと、
夏の海水浴は
徹夜明けで連れてってくれてたこと
思いつくままに話した。
何食べたいとか
食べ物のはなしになると
静かにテンションが上がっていて
それもなんだか
ぼくとそっくりだ。
手のマッサージをしてあげた。
指の運動がいいと聞いたので
ふだんもできるように教えた。
父の手は冷たかった。
指も細くって、しわしわだ。
でも、じじいと思えぬほど
すべっすべで
きめ細かい肌の質感だった。
ああ、
その肌質、
ぼくもおなじだよ。
会計を終えた妹が
施設の車が到着したと
こちらに知らせにきた。
お父さんと
たっくさん
話した気がした。
20分もなかったみたいだけど、
何時間も過ごしたような気がした。
ぼくは仕事があるので
同乗せずに病院で別れた。
まだ死なないでくれて
生きててくれて
ありがとう。
そんな想いで手を振った。
帰りの車内で
「俺も寝てなんかいられない
仕事でもするかなと」
父が絶好調だったと
妹がLINEで教えてくれた。
調子にのってる様子が
容易に想像できて
それをうれしく思う自分がいた。
まさか、ぼくが
お父さんのこと
好きだったとはね。
今日もごきげんでありましょう。
