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2025.0807 木

虹を見た。夕暮れ。

それは見事なアーチで

うっすら二重のダブルレインボー。


仕事を終えて

事務所のマンションを出たとき

すでに不思議な景色でね。


夕陽色の1枚下に

曇天のグレーが敷かれているような

斜光のコントラストもあいまって

ざわざわする高揚感で

オレンジの空を背にして

霧吹きのような小雨を感じた

そのとき、虹。ああ。

中小路のビルの間を割入り

大きな柱のように見えたのは

その一部でしかなくて

目線をたどると

大きな大きなアーチを描いていて

ここから先が見えないほどだった。


確かめたくて

見届けたくなって

電車通りを南へ向かって

平常心モードの早足で歩いた。


虹は思ったより、壮大。

歩道橋があるじゃないか。

登ろうか。

うむ。絶対に登る。


空想の巨大な生き物を

目撃したかのように

息をひそめ慎重に

iPhoneをかざした。


あれは、なんだったんだろう。

2回連続でシャッターをタップした

その同じタイミングで

空に光が走った。閃光。

虹を刺して消えた。

フラッシュ機能はオフなのに

なんだったんだろうと

撮った写真を確認してみると

そんなことよりも

ぜんぜんだった。べつものだ。

こんなもんじゃないのに。


もう撮るのはやめた。

写真に残すよりも

この美しさを浴びよう。

淡く淡く

ゆっくりと消えるまで見届けた。


魔法から覚めたみたいに

フェードインで我に返ると

歩道橋が揺れて

ここにいるのがこわくなった。

もう何年も登ってなかったし

高いとこ平気だったはずなのに。


虹が消えてしまった今

51歳の

歩道橋で立ち尽くす

おっさんがいる。

珍妙でしかない。

渡るわけでもなく

空を見上げていた

ほぼほぼ、心配な人物。


虹に気づいている人も

ぜんぜんいなかったし

この一連の不審なふるまいも

ぼくの存在も

誰も見ていないことだろう。


感動の余韻に

ちょいと残る

気恥ずかしさも含めて

誰も見ていなくとも

わたしが預かろうと思った。


ひと呼吸。

反対側の空に驚く。

虹を照らしていた

夕焼けがもっと濃くなって

雨雲とマーブルなもんで

もうそっちの空に向かって

帰り道を曲がることにした。


空は奇跡だ。

いそがしい。


そんなこんなで

ホラ、立秋ですよ。

今日もごきげんでありましょう。

2026.0123 金

いったん 見送りがちかもしんない。 ふとね そんな言葉が浮かんだんです。 タクシーを探していて。 いつもの 歯医者さんから事務所まで。 歩くと20分くらいかな。 その日はあとの用事が控えてたので タクシーに乗ろうと思ったんです。 車通りの多い道に向かいつつ 歩きながら探していて。 乗りたいと思ったその瞬間 タクシーが来たんです。 そしたら いったん見送っちゃったよね。 しかも、2台連続で通り過ぎた

 
 
2026.0122 木

美しい朝でした。 降り積もった雪の夜が明けて、 赤みの帯びた朝陽が 真っ白な静寂を照らす。 すみずみ、澄み渡っている。 駐車場の雪かきで ひと汗かきつつ 愛車が可愛くてたまらない。 事務所へ向かう道のり 誰かが歩いた細い道ができている。 それは、足跡の連なり。 足跡と足跡の あいだの場所を選んで 道幅を増やしながら歩いてみる。 すれちがったお母さんに 抱っこされている赤ちゃんが ぼくを見ている。

 
 
2026.0121 水

動きます──。 それは、 バスの運転手さんの アナウンスでした。 きりりとして ていねいに芯のある響き。 宣言が届いた瞬間でした。 ぼくの今が同調したように その言葉に反応したんです。 ただの 運行中のアナウンスなのはわかる。 バス停で人が降りて 再び動くときのかけ声だ。 でもなんだろう 響いたんだよね。 ぼくの心の どこかにあるスイッチにふれて ぼくのなかの全自分が ウォーっと両手を挙げて 立ち

 
 
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